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行政書士に依頼する場合の手順

行政書士の仕事の流れについてご紹介していきます。

自社対応と行政書士に依頼する場合の手順 〜定款作成の場合〜

まずは行政書士のメイン業務の1つである会社の定款作成を例に、
自社で作成する場合と行政書士に委託する場合それぞれの流れの違いを見ていきましょう。

1.自社で定款を作成する場合

  1. 定款をルールに則って作成する
定款には決められたフォーマットはありません。
一般的にはA4用紙に10pt~12pt前後の黒字・横書きで作成をします。
フォーマットはないものの、必須項目がありますのでご注意ください。
<定款の必須項目>
「商号」「事業目的」「本店所在地」「出資額or最低額」「発起人の氏名・住所」の5点
最低限この5点が正確に記載されていないと、認証を受けることはできません。
また、認証後に記載内容の変更手続きを行う場合、変更の度に3万円の登録免許税がかかります。
作成にあたっては表記方法等のをルールを理解し、正確に作業を進めましょう。
<表記方法のルール>
・商号(会社名)
商号は、他の企業と重複しないかきちんとチェックしたうえで記載するしましょう。
商標登録されている・誤認されやすい・不正競争防止法に抵触する可能性がある社名はNGです。
・事業目的
事業目的については、将来的に行う可能性がある事業を含めて、もれなく記載しましょう。
前述の通り、後から追加したい、と変更手続きを行うと登録免許税が発生します。
また、寄付やボランティアといった営利性のない活動は事業目的として認められません。
事業目的として認められるものを記載する必要があります。
・本店所在地、出資額(or最低額)、発起人の氏名及び住所
住所や金額を記載しますが、住所についてはハイフンで省略することはできません。
〇丁目〇番〇号と記載する必要があります。
同様に金額についても「¥」は使えないので、金〇〇万円と記載しましょう。
上記5点の絶対的記載事項を記載し、内容に間違いがないかチェックしたら、
必要に応じて相対的・任意的記載事項(役員の任期、株券の発行、公告の方法等)を追加します。
  1. 法務局へ提出する
印紙代と認証手数料を支払い、法務局へ申請します。

2.行政書士に依頼する場合

  1. 行政書士へ必要なデータを提出し、作成を待つだけ
行政書士に定款の作成を依頼する場合は、まず必要なデータを提供します。
行政書士事務所の多くは定款作成用のヒアリングシートを用意しています。
メール添付などで送られてきたシートに会社名や出資額、本店所在地を記入し、
間違いがないかチェックしたうえで返信しましょう。
その後は、行政書士が所定の書式・表記ルールに沿って定款を作成してくれるので、
依頼者側で文面を調整したりする必要はありません。
あわせて、前述の法定費用(印紙代、定款認証手数料)の支払いも代行してくれます。
また、司法書士とパートナーシップを持つ行政書士事務所なら、法人登記までお任せ可能です。

行政書士に依頼する前に 〜事前準備〜

行政書士と契約を結ぶ前に済ませておきたい準備について、2つご紹介します。

大まかなスケジュールを固めておく

行政書士に依頼する案件は、行政書士の作業だけで終わるわけではありません。
会社設立、許認可の取得、就労ビザの申請などでは、
申請書類を作成・提出した後、行政や自治体の審査を通過して初めて完了となります。
中には期間を要するものもあり、例えば建設業や運送業の許認可については、
依頼から取得まで2ヵ月以上かかることも珍しくないでしょう。
更に書類に不備があったりすればより長い時間を要することもあり得ます。
法人化や許認可の取得が遅れれば、その分だけ事業をスタートするのも遅くなってしまうので、
・いつまでに申請を完了させたいのか
・いつまでに許可を取得すべきなのか
大まかなスケジュールを立て余裕を持って動けるようにしましょう。

できるだけ資料を用意しておく

法人化や事業の許認可取得には、申請書とあわせて多くのドキュメント・資料の提出が必要です。
例えば、飲食店の営業許可申請の場合、
食品衛生責任者の資格証明書のほか、店舗の見取り図や店舗設備の配置図なども必要です。
こうした必要書類についてはもちろん行政書士が教えてくれますが、
あらかじめ行政に問い合わせ、できる限り自分で用意しておけば、
その分見積もりもスムーズに進み、全体のスケジュールを前出しできることもあるでしょう。

行政書士へ依頼する際の流れ

行政書士事務所と契約を結ぶ際の流れについて見てみましょう。

1.契約先の選定

まずは契約先の選定を行います。
行政書士事務所の多くは、得意分野、特化した業務をお持ちです。
例えばHPを確認すれば料金、代表の経歴・プロフィールを掲載していることも多いでしょう。
依頼したい内容に対応できそうな事務所を契約先を候補にします。
また、対面での打ち合わせを希望する場合や継続的に業務を委託したい場合は、
オフィスから近い事務所を選ぶことも大切になります。
一方で会社設立の法定費用を抑えたい場合は、
定款の電子申請(ICカードリーダーによる申請)に対応している事務所から選びましょう。
また、行政書士とあわせて税理士や社会保険労務士など他の士業の方が在籍している
コンサルティングファームも少なくありません。
そうした会社と契約すれば、
・資金を調達する ・人事制度を構築したりする
など包括的なサポートを受けらるでしょう。

2.見積もり取得・相談

契約先の候補を選んだら見積もり取得・面談へと進めていきます。
行政書士の場合は、初回の相談の後で見積もり提示となることが多いようです。
ほとんどの行政書士事務所では無料で初回相談を行ってくれますが、
なかには1時間3,000円から5,000円程度の相談料がかかる事務所もあります。
事前に相談料がかかるかどうかの確認を忘れずに行ってください。
また、コンプライアンスの観点から身分証明書の提示を求められることがありますので、
あらかじめ用意しておくといいでしょう。
面談では依頼の理由・背景・自社の事業内容・事業プランなどをもれなく伝えるのが大切です。
口頭での説明に加え、目的に応じた資料(例えば事業計画書など)を参考資料として提示できれば
より具体的な話ができるでしょう。

3.契約

見積り内容をチェックしたうえで、料金と委託内容に問題がなれければ契約書にサインします。
ちなみに行政書士の報酬の一般的な相場は、こちらのページを参考にしてください。
行政書士との契約は基本的に単一業務でのスポット契約であることが多く、
税理士事務所や弁護士事務所のように、継続的に顧問料が発生するケースは多くありません。
他の士業と比べ、契約はシンプルな形になるので、
要望をもれなく伝え、順調にやりとりが進めば選定から契約まで1週間程度で完了するでしょう。

4.契約内容の遂行

契約完了後は行政書士側で業務を遂行していきます。
この際に、協力が必要なもの・資料提出が必要なものなどはもれなく提示するようにしましょう。
また、行政書士へ依頼する内容によってスケジュールは変動しますので、
定款の作成・許認可申請を例にどれくらいの時間がかかるのか見ていきましょう。

 定款の作成

<スケジュール>
自社側の情報提出:1〜2日
行政書士側の作業期間:3営業日〜1週間程度
法務局の認証:1週間前後
トータルで3週間前後
法人登記に欠かせない定款の作成、会社設立の手続きを行政書士に委託する場合は、
クライアント側から必要な情報をヒアリングシートに記載する形で提供し、
所定のルール・形式に沿って定款の形に整えてもらうというのが基本的な流れになります。
定款に記載する項目の数にもよりますが、あらかじめ必要な情報を洗い出しておけば、
シートへの入力は1日から2日程度で済ませられるはずです。
その後は行政書士事務所の作業期間になりますが、一般的に3営業日から1週間ほどです。
※必要な情報が1回のシート入力で揃い、行政書士側でスムーズに作業を進められた場合なので
依頼者側で提供した情報が間違っている場合は再入力や修正作業に時間がかかります。
また、会社設立の手続きは定款を作成するだけで終わりではありません。
定款を法務局に提出して認証を受ける必要があり、その認証に1週間前後の期間を要します。
ヒアリングシートの入力から認証まですべて含めると、トータル3週間前後が一般的な期間です。

 許認可の申請

<スケジュール>
行政書士側の作業期間:4営業日程度〜
各種手続きの完了まで:1週間〜10日(飲食店営業許可申請)・2ヶ月以上(建設業許可申請)
※依頼内容に応じて期間が大きく変わります。
許認可の申請手続きを委託する場合も、基本的な流れは会社設立とそれほど大きく変わりません。
ただ、許認可を得るために必要な書類、申請窓口は業種によってそれぞれ異なり、
取得までの期間も大きく変わってきます。
飲食店の営業許可・建築業の許可申請を例に見てみましょう。
飲食店営業許可申請
飲食店の営業許可に必要な書類の一例/
・店舗設備の配置図 ・内装の平面図 ・食品衛生責任者の資格登録証 など
詳細はこちらのページをご覧ください。
※一般営業施設の新規申請をもとに作成しております。業態・営業方法などで異なります。
参考:東京都福祉保健局 食品衛生の窓  新しく営業するときの手続きの流れ
書類を用意し提供した後、行政書士が申請を作成するまで4営業から5営業日前後かかります。
さらに
・消防署や警察署での申請受理
・保健所の確認検査
などの各種手続きが完了するまでに1週間から10日かかるため、
行政書士への依頼から営業スタートまではトータル2、3週間前後となります。
建設業許可申請
建設業の許可申請に必要な書類についてはこちらをご覧ください。
参考:国土交通省
【許可申請に必要となる書類の一覧】〈令和3年1月1日より適用〉
リンクをご覧いただくとわかる通り、かなり書類が多く、
都道府県知事の免許・国土交通省の大臣許可を取得する必要もあるため、
トータル2ヵ月以上かかることも少なくないようです。
契約を結ぶ行政書士の選定や見積もりを含め、余裕のあるスケジュールを組んでおきましょう。
 

いかがでしたでしょうか。
少しでも参考になる情報がありましたら幸いです!
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